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「んっ……」
やわく舌を吸い上げられて腰が震え、たまらず目の前にある黒い服を掴む。
もう片方の手がうなじから鎖骨にかけて煽るように肌の上を滑っていく。
「っ……、んんっ……」
体の芯を熱くさせると、無機質な電子音が当直室に満ちていた淫猥な空気を一掃した。
顔を離した天翔さんが胸元のPHSを不機嫌そうに取り出して。
「……何」と、不機嫌オーラを十分に漂わせた一言を発した。
頭を引き寄せられて肩に突っ伏しながら、天翔さんの短い相槌を聞いていた。
やがて、電話を切った天翔さんにぎゅっと抱きしめられる。
「ごめん、知花ちゃん。
急患来るから行かないと」
「そう…なんですか……」
天翔さんが仕事中だということを忘れかけていて、夢から覚めるみたいに急に現実に戻された。
「……あれ?
なんか不満そうだけど、そんなに続きしたかった?」
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