一章 大樹

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「山崎さん」 「は、はい!?」 動悸が酷いなかで、声をかけられて、心臓が爆発しそうになった。 声がひっくり返る。 「あ、す、すいません……」 「はじめは緊張するよね。これ、やっておいてもらっていい?」 「あ、はい」 呼吸を整えて、渡されたものをみる。 名簿のようだ。 それから、なんだろ? レジュメ? 「これは──」 「柊木(ひいらぎ)、電話だ」 瀧澤さんが、柊木さんに声をかける。柊木さんは、そそくさと行ってしまった。 手元にある、やり方が全くわからない仕事を見る。 とりあえず、中身を見てみることにした。 まずは名簿だ。 名簿には、法人の名前と電話、メールアドレス。また個人取引もあるようで個人の名前や電話もある。 これで、アポ取るのか? よくわからん。 次だ、次! 次にレジュメを見る。 レジュメは、何かのプレゼン資料のようだった。 『知って楽しい絵画の世界』 企画? 付箋に『40』の数字が書いてあるけど、これは部数のこと? コピーしろということだろうか。 これだけじゃわからない。 じっとしているわけにもいかないから、レジュメを持って立ち上がる。 柊木さんは、まだ電話中だ。
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