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「飲みに行くか」
まさかだった。
この人、飲みに行くの?
誘われては断ることもできず、飲みに行くことになった。柊木さんや受付の人も来た。
最初は緊張していたけど、飲むときは楽しかった。色んな話をして、そろそろ終電だから帰らなきゃと思ったところで、瀧澤さんは私を見つめた。
酒が入って目が赤い。
それがいつもより怖さを増していた。
「ここでじっくり話そうか」
え、終電……。
その言葉を飲み込む。
私はこくりと頷いた。
「俺な、お前と一つしか違わない」
「は、はあ……」
「だから、甘く入ってきたお前をみてると腹が立つ」
嫌われているのはわかってたけど、なにそれ。
帰りたい……。
まさかの説教がはじまった。
「そもそもなんで入社した?」
「え?」
「聞き返すな。入社した理由を聞いている」
「私、去年の夏に美術館に行ったんですが、そこで『黄金の勝利』を見たんです」
「ほう」
この人には話してはいけないと直感が働いたけど、圧力がすごくて、話さなきゃいけない気分になる。
私は内心ドギマギしながら、続けた。
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