序章 黄金の勝利

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「『黄金の勝利』を手にしたものは、時代を変える、と言われています」 「……時代を変える?」 三十年戦争の勝敗がどうも曖昧で時代を変わるというのがイメージつかない。。 「1625年、プロテスタント側をデンマークが手助けをします。結論から言いますと、1648年まで続いた戦争に決着はついておりません。最後は宗教に関係なく、ヨーロッパの覇権争いになりました。 そのときにこの黄金の勝利を手にしていたのは、本来カトリック側なのにプロテスタント側について戦ったフランスの主権者です。フランス側はプロテスタント側で勝つことにより、カトリック側にも影響力を与えようと考えたのです」 「黄金の勝利がフランスに勝利をもたらしたんですか?」 「完全な決着はなくとも、フランスは勝戦国だと言えますからね。そして、フランスがプロテスタントで戦ったからこそ、プロテスタントは生き残り、そして、カトリックの神聖ローマ皇帝のドイツに対する統治は失われました。時代が変わったのです」 へぇ……。 歴史は得意じゃないけど、こんな風に、絵から歴史を感じることができるんだ。 背中がゾワゾワした。
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