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眠り
寝ようと思って横になった。
目を閉じて、静かに暗闇に落ちていく。
暗闇の中で、ただひたすらに、自分の意識が消えるのを待つ。
もう少しで無意識の海に落ちそうなとき、大抵は横切る残像に邪魔される。
目を閉じても眠れないので体勢を変えてみる。
仰向けからそのまま右を見るように横向きになった。
手前のデスクにあるアロマキャンドルを焚いてみた。いい香り。
揺らめく炎をみていたら、段々と意識が薄れてきた。
無意識との狭間で、思い出すのはあの時のこと。
もしあそこで私が何もしていなければ、今もあの頃のようにいられただろうか。
それはそれで、何もしなかった事に後悔したのではないか。
考えは尽きない。
何をしても上手くいかなくて。
いくら頑張っても、誰にも認められなくて。
自分が悪いのは分かってる。それでも、誰かに「頑張ったね」って。
目を開けて、天井を見上げてみた。
アロマキャンドルの明かりがほのかに天井を照らす。
乱れた髪をそのままにして、視線の先に手を伸ばしてみた。
短い腕じゃ、いくら手を伸ばしたって届かない。
誰の期待にも応えられない。
胸の中にあった炎は、いつのまにか凍りついていた。
もう一度あの光を手に取れたら。
そう思うと、次第に視界がぼやけてきた。
熱くなった目頭は、私の氷を溶かしてくれるだろうか。
今夜もまた、眠れそうにない。
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