第1章

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俺は退院後はレオの家に居候させて貰うことになった。 事件後は精神科に行くのが普通らしいがレオが許さなかった 「大丈夫。もっといい精神科知ってるから僕と今度行こう。」 そう言っていた。 俺は事件後、一人で寝れなくなった。 目を覚ましたらまた火の中にいるのでは無いかと不安になり息が出来なくなる 入院中は幾度となくナースコールを押してしまった。多分夜勤の看護師さんも嫌々対ていたに違いない。 それに加え俺は女の人も無理になった 母のこともあり女の人がとても怖くなり女看護師さんと会話するぶんにはまだ大丈夫だが体に触れようとすると異様に拒否反応が起き、体が震えてしまうようになりパニックになる。 そのため俺の担当医は男性、看護師も男性のみの対応となった あと最後は火。火事を体験した人は火が異様に怖くなると聞いたことがあるが、俺もそれに該当した。 火を見ると過呼吸を起こしてしまう 俺は完全にパニック障害になってしまった。 そのため、すぐの大学復帰は困難を極めた為レオが休学届を提出してくれた。 火傷も良くなり退院となった日にレオの父の秘書という人が車でむかえにきてくれた。 「はじめまして。わたくしは秘書をしておりますエバンスと言います。」 「は、はじめまして。坂野 雄大です。」 秘書と言うよりも執事に近い身なりをしたエバンスさんはニコッと笑うと 「さぁ、車にどうぞ」 と言って黒塗りの高そうな車の扉を開けてくれた 「さぁ、雄大、はいって」 「え、う、うん。」 レオにすすめられるまま車に入った 「れ、れお…やっぱりレオってめっちゃいい所のお坊ちゃま??」 「うーん。そこまででもないよ。アハハ」 乾いた笑い声で誤魔化すレオ …………父さんもこんな車にのせてあげたかったな 父さんの遺骨は瓦礫の下に埋もれてしまってボロボロになったらしい…。 最後に見た祖父母の顔はなんとも言えない悔しそうな顔をして「もう私たちに関わるな」と泣きながらいわれた 俺ももう何も言わずに頷いた でも、祖父母と別れる際にとても小さな声で「ゆうくん、ごめんね」と聞こえた気がした 「ごめんねって…なんでだろう…」 風のように流れる風景をボーと見ながら呟くと 「ん??なにが?」 とレオが顔を覗き込んできた 「え、あ、いや。なんでもない」 「そう??…ならいいけど」 そう言ってレオは前を向いた 数分後、レオの家に着いた 何度見ても広い。とてもいい家に住んでいると思うと 庭も広いし、家自体も大きい。二階建てだが………何部屋あるんだと聞きたくなるぐらいだった 「さぁ、入って。あ、エバンス、ありがとう。もう父さんの所に戻っていいよ」 「はい。坊っちゃん」 頭を下げエバンスさんは何処かに行ってしまった。 今日から当分、ここで過ごすのか。 目の前の大きな家に少しながら不安を抱いていた。
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