第1章

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--------- 雨が降っていた。 俺は黄色い傘を持って父と買い物に出かけていた。 今日は俺の誕生日だからと母がクリームシチューを作ってくれると約束していたから、父と近くのデパートに買い物に行く途中だった 閉店した寂れたお店の前で下を向いて座っている女の子を見つけた 綺麗な金髪だった…。控えめに開いた瞳は綺麗な青と緑が混じった神秘的な色をしていた ………そう。その子はとても綺麗だった。 あぁ。これは昔の記憶だ。 直ぐに俺はそう気づいた。 この頃は母も優しかった。 懐かしい… この後確か俺は走ってその子に近づき 「どうしたの?だ、大丈夫??」 と聞いた。 すると彼女はこちらを向いて目を丸く見開いた ………多分それが俺の初恋 身なりのしっかりとした彼女 短パンからのぞく足は白く図工の教科書で見た彫刻のようだった 「あ、あ、あ、あの、こ、これ。この傘使って!」 そう言って俺は彼女に傘を差し出した。 彼女は何も言わずそれを受け取り、俺は恥ずかしさのあまり走って父の所に戻ったんだ。 「なんだー?雄大、可愛い子だな。知り合いか??」 俺の行動を見て父がニタニタ笑った 「し、知らない!!!」 幼かった俺は顔を真っ赤にしながら父の手をぎゅっと掴みデパートへ出かけた。 その後、父から新しい傘を買ってもらい母の待っている家に帰り 暖かいリビングの中でケーキやシチューをいっぱい食べた。 あの時は暖かかった。 暖かい……。 暖かい、暖かい…暖かい なんだか俺も暖かく感じてきた 夢だから…暖かいと思うのか… でも……なんだか暖かすぎ… 暑い…熱い…あつい… 「………ぃ!!!ゅ、、ぃ!!ゆうだい!!!!」
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