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ガンッ!!!
レオは俺を引っ張りながら勢いよく扉を開けた
「っっあっつ!!!! 」
レオの手は真っ赤に爛れていた
焼けた扉を開けたせいだ…。
「おい!!!兄ちゃんが出てきたぞ!!!」
「馬鹿野郎!いくら知り合いを助けようにも水を被って捨て身で行くやつがあるか!!!」
レオは周りに居た消防士に怒鳴られた
俺たちはそのまま救急車で病院まで運ばれた
レオも俺も幸い軽度の火傷で済んだ。
でもレオの右手の火傷は跡が完全にのこる物となった…。
次の日の病院にあるテレビで俺の家が報道されているのが見えた
内容は放火ということで容疑者も今日の朝見つかったらしい。
「………………………え…」
目を見ひらたいたと同時に手が震えた
テレビ画面いっぱいにうつっていたのは
「…………母さん…」
昔と変わらない綺麗な顔をした母さんだった。
………俺たちを殺しに来た…そう言うことだろうか
『三柴実彩子容疑者は“とても憎い人がいたからやった。悔いはない”と発言しているようで………』
ならこれは全部…俺らの………俺のせい?
母は俺のせいで幸せが無くなったと言っていた。
俺が…いたから………。
「ゆーうだい!」
大きな声が共同スペースに響く
「ちょっと!クラークさん。院内ではお静かに」
看護師さんが鋭い形相でこちらを見てきた
「おっと…ごめんなさい。」
レオが謝ったのを見て看護師さんは何処かに行ってしまった
「雄大、ここにいたのか。病室行ったらいないから、もしかして…って思ったけど、良かった」
ふー。とふざけてるのか真面目なのか分からない様な心配の言葉をかけてきた
「…………レオ、ありがとう。昨日の夜は…おかげで助かった…」
「…………………。」
レオの顔が見れなかった。
俺が招いた事件にレオを巻き込んで一生消えない跡をのこしてしまったと思うと……
「ありがとうって言葉は相手の目を見て言うもの…なんじゃない?」
「え…」
「…それに僕も…雄大しか助けられなかった…。雄大パパを……僕は…っ。」
口をすぐんだレオ。レオも父の事を好いてくれていたのは見てわかる。
レオの苦悶な表情に俺は何も言えなかった。
「でも…多分雄大を見捨てて雄大パパを助けてたら雄大パパに恨まれてたんだろうな…
雄大パパはそんな人っぽい…」
遠くを見てレオは囁いた
俺はレオの方を見て
「…………ありがとう」
と伝えた
するとレオは
「………うん」
とにこやかに答えた
その後、犯人が実母という事で俺のところにはマスコミがやってきたが、俺のところに来る前に全員帰ってしまった。
どうやらレオの父が後ろ盾してくれたようでマスコミが来ないようにしてくれたらしい
その代わり警察には色々と聞かれた。
それにはしっかりと答えた
母の事、父の事…
でも、思い出す度に過呼吸を起こしてしまう。
通常よりも数倍の時間を要する事になったが、全て答えた。
退院後は祖父母のところに行こうとしたが
「…え?く、来るなってどういうこと!?」
『お…お前は…私達の息子を殺した悪魔の子供だ!!悪魔と同じ血の流れるお前はもううちに来るな!!!』
「え、ちょ、まって---ピッ、ツーツーツー」
祖父母にも見放されてしまった…
途方に暮れる俺をレオは「なら、俺の家くる??」と言ってくれた。
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