極上のカレーを作れ!

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極上のカレーを作れ!

 僕は自分の作るカレーに正直、自信がある。幼なじみの女の子がとてもカレーを作るのがうまくて色々教えてもらい、そこからさらに改良に改良を重ねた経験があるのだ。  基本的な作り方は市販のカレールウの箱に記載されているレシピ通りなのだが、そこにアレンジを加えている。用意するものは市販のカレールウに豚肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、ガラムマサラ、ローレル、ポテトチップス、そしてトマトジュースだ。おそらく船山教授はポテトチップスとトマトジュースをカレーライスに使うことなど思いもしないだろう。  まずはじゃがいもとにんじんを一口大に切っていき、玉ねぎを切る。ここでポイントなのは玉ねぎの切り方だ。櫛形に切るものの他に、薄切りのものやみじん切りのものを加える。煮込んだ後に醸し出される玉ねぎの甘さが切り方によって異なってくるので、二重三重の深みが出てくるのだ。つまりこうすることで玉ねぎの食感をしっかりと味わいながら深い甘味を堪能できるのである。  豚肉を強火で炒め、ある程度火が通ってきたら玉ねぎのみじん切りを入れて中火にする。それにも火が通ったら残りの玉ねぎとにんじん、じゃがいもを炒めていく。そして一通り火が通ったところで投入するのが、トマトジュースだ。トマトには世界三大旨味成分である「グルタミン酸」が含まれる他アスパラギン酸も含まれており、旨味成分の宝庫。これを入れることでカレー全体に旨味が染み渡るのだ。もっとも、無用な雑味出さないためにもトマトジュースは無塩のものを選ばないといけない。そしてその鍋の中にローレルとガラムマサラを加える。  そしてグツグツと煮込んでいきある程度火が通ったところで、少量のポテトチップスを投入する。こうすることで、香ばしさがプラスされる。そしてコトコトと煮込んでいき、終盤で市販のルウを溶かしていく。このとき、カレーのルウは2種類使う。こうすることでそれぞれのルウが持つコクがハーモニーを奏で、さらに重厚感のある味わいになるのだ。カレーの味の好みは人それぞれ。だが僕はこのカレーが一番旨いと自信を持って言い切れる。 「これがおいしいカレーライスのつくりかたである。以上」  結びの文をこう打ち込むと、僕は急いで印刷をかけてホチキスで左端を留めた。時刻は午後1時半。飛ばせばなんとか間に合う時間帯だ。僕は急いで着替えて自転車へと跨った。  大学の学部事務室に着いたのは午後1時57分。僕は駆け足でレポートの提出口に向かう。船山教授のレポートはまだ、受付中だった。 「間に合った!」  息を切らせながら僕はそうつぶやく。そして船山教授のラックにレポートを放り込んだ。  4時間の熱い闘いに終止符が打たれた瞬間だった。
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