百人切り

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百人切り

綺麗に盛り付けられた特製オニオンソースのかかった肉厚のローストビーフの残りの1枚を平らげてドリンクとってきますと言い席を離れドリンクバーに向かう よく分からない焼酎やらリキュールが並び業務用のウイスキーが存在感を出している。たまにジャックダニエルのハニーテイストやスパークリング日本酒の澪などが置いてあるときもあるがこの日もない。結局、ビールとハイボールのサーバーの所へ行き、迷った末空のジョッキにハイボールを注ぐ この日も訪れた相席屋。今日は男3人で利用だ。3人で利用しても男女関係なく2人の組とマッチングする。(4人以上だと二組以上に分けられることが多いが、まずそんな大人数でくることはない) この日は2組とマッチングしたが全く好みでない。私が席に戻ると、今度は女性陣がドリンクを取りに行き、その間3人で話あって早期退出することにした 「すみません、僕たち門限があるんでこれでかえりますね」 2組目とマッチングしてまだ5分前後だが予め決めといた言い訳を申し訳なさそうに話す この好みじゃない人から速攻で逃げ出す言い訳は通ってる人なら誰でも持っており、これから門限の他にこれから映画みるとか違う人と待ち合わせせているなど様々である 一見女性に気を使っての行動に見えるが女性をバカにしないで欲しい。おそらく9割ぐらいの女性が言い訳だと気づいているだろう。女性の浮気はほとんどばれないのに対して男性の浮気はほとんどばれているらしい。それほど女性は勘がいいのだ とはいえ1割の女性は傷つかずにすみのであれば、私達はそれでいいと思っている。そもそも、お金を出してるのはこっちなので少しぐらい強気でもいいだろうというスタンスである そうなんですか、気をつけて下さいと言われ伝票を持って会計を済ませようと入り口に向かい歩く。そのとき可愛いらしい女性がすれ違い思わず振り替えってしまった 伝票をわたすとまだ44分しかたってないという。今ならまた新規の女性の方とすぐにマッチングできますがいかがなさいますかと委ねられ、3人で相談して先程すれ違った女性とマッチングすることを願い再び舞い戻った 気をつけるべきは2組目の女性陣だ。門限といいつつまだいたらあちらも不快な気持ちになるだろう。ドリンクバーやトイレで合わないように姿勢を低くしながら案内された席へ前進した ようやく着いた席で私達は仰天した。マッチングした女性はなんと一組目の女性だった。本来1度マッチングした組み合わせはならないが店員さんが間違えたそうだ。初めての経験とみんなの驚きでなかなか盛り上がったが、もう一度緊張感をもって行動しなければならない なぜなら店員がもう一度違う席に案内してくれるのだが、2組目の女性陣と会うわけにいかない。私達はもう一度姿勢を低く前進した 案内された席には、先程すれ違った可愛らしい女性達がいた。乾杯すると女性陣はタバコ吸っていいですかと尋ねてきたので全然気にしないですよと答えつつこっちにきた煙を手でバタバタと振り替えした めっちゃ気にしてるじゃんと女性陣はケラケラ笑いながら自己紹介を軽くした 女性陣はどちらも芸能人顔をしていた。そのうち1人はニコルン、職業はギャバ嬢らしい。確かに話し方がこなれていた もう1人はAKBの柏木由紀、こちらはおしゃべりギャバ嬢ニコルンと違い不思議な雰囲気を出していた 聞けば柏木由紀の方は経験人数を多過ぎて数えてないらしい。この柏木由紀、何が凄いかというと確かに可愛いが決して絶世の美女ではない。女性に点数をつけるのはよくないが7.80点というとこだろう。 だが、男を誘惑するような、言ってしまえばやりたくなるような目に見えないフェロモンが彼女の周りからプンプンでていた。服装も白のキャミソール1枚で、その薄い素材に身体の全てを預けてる様は、さらに魅力的に見えた。 それはお前が酔いすぎて勝手にそう思ってるだけだと思われそうだから言っておくが、他の二人も全く同じ事を後日言っていた つまりはこの女性達に私達3人は興味津々というわけだ。3人で確認すらせずに二次会に誘うことを決心した この手の女性達は、単に暇潰しで来ているタイプが多い。なので、二次会の金を出すと言えば意外と肝も座っているのでついてくることが多い。今回も誘ってみると別に嬉しそうでもなく、嫌そうでもなくいいよと淡々と了承してくれた お互い伝票をとると5人揃って受付に向かった。このときには姿勢を低く低くしている私達はいなかった。伝票を渡すとまだ60分を越えてなくクーポンを使うことはできなかった はっきり言ってどこで飲んだか全く覚えてない。ただ1つ向かいにセブンがあったのは覚えている。 店に入ると奥の座敷に案内され、飲み放題があったのでそれを注文することにした。私は便意が限界まできていたのでハイボールを頼むように伝えて早々と席をたった すっきりして戻ってくると私の相方の1人が令和サワーというものを飲みたかったのだが飲み放題メニューに入っていないので単品で頼んだとみんなでゲラゲラ笑っていた もうすでに混沌の匂いがしてきたなと思い席につき、単品のメニュー表を見るとでかでかと令和サワーなるものが載っていた 見た目は紫、青、緑、の毒々しい層が重なっていているが、圧倒的紫に割合が多かった。味は新時代による令和の味!となんとも意味のわからないことが書いてあった 今年の5月に令和になってまだ1ヶ月もたっていない。そういえば新元号になってすぐに 令和という歌を作ったグループもいたなと思い、まだまだ令和ブームは続くのかもしれないと考えメニュー表をおいた 2回目の乾杯を終えて令和サワーの味を聞くと分からないと言われた。私も一口もらったが確かによく分からない。これが新時代の味なのか。 ある程度令和サワーでもら上がっていたら、柏木由紀が私達3人にあだ名をつけてあげるという。相席屋では基本私は名前を言わないし聞いたりもしない。それは、お見合いみたいに固くなりたくないし、個人情報をすぐに教えたくない、知人がいたらヤダとか様々な理由がある。 なので女性陣は一律お姉さん呼ぶか、話の流れであだ名をつけたりもする。ちなみに、今回は柏木由紀が百人切りでニコルンはギャバ嬢と呼んでいた さっそくつけてもらうと私の右側の相方は「童貞」 さっそく爆弾みたいなあだ名をつけられ盛り上がっていると、あだ名をつけられた本人だけが理由を聞いたら、会話してて発言が童貞臭いし、顔も童貞っぽい、故に童貞 ちなみにこの童貞くん私達3人のなかで1番経験人数が多いのだ。そこだけはフォローしよう 次に私の番だが、私は「チャラチン」だった。チャラ男ではなく、チャラチンだ。なのでチャラチャラしたやつにちんちんがついてるのかもしれないし、彼女には見せてないがちんちんがチャラチャラしてたのかもしれない。これは未だに謎のままだ。 そして最後、左側の相方は「パープル」これはただ単に令和サワーの色が紫だからだろう言ってしまえば手抜きだ せっかくつけたあだ名もほとんど機能せず、ニコルンのキャバクラ仕込みのコールの数々でベロベロに酔っぱらってしまった。私が二人の胸を触るか先が、二人が私のぺニスを握るのが先か、まるでこの居酒屋の隅の一角だけがセッキャバのような異様な空間になってしまった。あまりにも盛り上がって柏木由紀が自分のタバコで自分の服を燃やしてしまい、みんなで爆笑してそこでお開きになった 店を出ると柏木由紀はセブン行かなきゃと向かいにあったセブンに入り、迷うことなく小型の裁縫セットを購入した。私はセブンで小型の裁縫セットが売ってることも知らなかったし、それで何をするのか興味津々だった なんと彼女は今まで死ぬほど酒を飲んでいたのに、慣れた手つきであれよあれよと自分の焼けて穴を空いた服を塗っていく。がさつなギャルだと思っていた彼女は、実は日中はとても家庭的な女性なのかもしれない その作業にあっけにとられてしばらくみていたが、ふと時計を見ると日付がもうすぐで変わる時間だ。顔を上にあげるとまだまだ空はどす黒い闇に包まれている。もう一度彼女の方を見るとまだまだ作業に没頭している。まだまだ夜は明けそうでないなと思い彼女の作業を見つめていた
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