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「へぇ」  七海はそっと、スマホを握りしめた。美しい夕焼けを撮ろうと考えたのである。 「洋奈ちゃんもそれでいい?」  大通りに差し掛かったころから、洋奈は急激に静かになっていた。 「え……? あ、うん」  洋奈はぼんやりと明後日の方向を見ている。  疲れてしまったのだろうか……そう思ったが、七海はなぜか胸騒ぎがした。  歩道橋の中程で顔を上げると、真っ赤な夕陽が視界を染めた。 「わぁ……!」  七海は目を細める。正宗はスマホを片手に写真を撮っていた。七海もそれに倣った。 「洋奈、綺麗だね」 「……ん? うん……」  やはりおかしい。洋奈だったら喜んで飛び跳ねそうなのに。
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