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「あれ……?」  足先に何かが触れた。驚きつつ下を見る。  薄暗い足元には何故か花が置かれていた。しかも、一輪ではなく花束。子どもの悪戯にしては凄すぎる。 「彼岸花……?」  赤いそれは落とし物では無いだろう。落とし物にしては奇妙だ。そっとそれを持ち上げる。 「あ……」  小さなメッセージカードが置かれていたのだ。  ピンク色のそれを持つ上げると、綺麗な、恐らく大人の字が並んでいる。 『石田洋奈ちゃん あなたの未来を奪ってしまい、申し訳ありません。 深く深く反省しています。 御家族の方。大切な洋奈ちゃんを奪ってしまい申し訳ありません。 謝っても許されることでは無いと承知しています。   安久津(あくつ)(もえ)』 「洋奈!」 七海が顔を上げると、慌てたように洋奈は姿を消した。
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