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※  昼休み、七海は正宗と図書館へ来ていた。  閑散としている図書館。この学校の図書館は圧倒的な蔵書数で、まるで市立図書館のようだ。だが、目当ては本でも新聞でもない。パソコンだ。  七海は利用手続きをしながら内心ほっとしていた。今日は津村沙彩の機嫌がいい。いつもの空き教室でご飯を食べていても来なかった。確か──今日は牛島栄輝の誕生日だ。  パソコン利用証明書を図書委員から受け取り、指定されたパソコンへ向かった。カタカタとキーボードを叩き、ニュースサイトを七海は開く。後ろから正宗が覗き込んできた。 《××県宮ヶ丘 事故 石田洋奈》  震える手でエンターを押す。二、三秒後画面が切り替わる。ほんの少しの時間なのに、長く感じた。地方版の記事を開くと、【宮ヶ丘・魔の交差点で相次ぐ事故 小4女児死亡】と出ている。  七海がクリック出来ずにいると、後ろから正宗の腕が伸びてきた。カチリという音とともに再び画面が切り替わる。二人は画面を凝視した。
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