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二人の心は、同じだったけれど、すれ違ってしまったとさ。
そうだよ、おしまいだよ! 私、フーちゃんに酷いことを言ってしまった。フーちゃんは、わざと明るく言って場を明るくしようとしてくれたり、一生懸命慰めてくれたりしたのに・・・! それに、『フーちゃん、嫌い!』なんてことも言ってしまった。
フーちゃんとは、今日会ったばかり。でも、そんな私と楽しそうに話してくれて、すっごく嬉しかった。
おばけなのに、フーちゃんが怖くないのは何故なのだろう?
フーちゃんが、路地裏で一人で泣いているようなめんどくさそうな私に声をかけてくれたのは、何故なのだろう?
だいたい、私におばけが見えるのは何故なのだろう?
今思えば、疑問だらけだ。
もしかしたら、これはただの夢なんじゃないか。
だんだん、そう思えてきた。
夢なんて嫌だ、そう思う私がいる。フーちゃんには酷いことを言ったくせに、そんなこと思うなんて、最低かな、私。
・・・もし夢なら、私は夢の中でも虐められる存在なんだね。悲しいなぁ。
「私って、生きてる意味、あるのかなぁ?」
私は、ポタポタと次々に涙を流した。
泣き虫だなぁ、私。
そんな私も嫌い。
「ううっ」
歯を食い縛ってでも我慢すればいいのに。
弱いなぁ、私。
そんな私も嫌い。
あぁ、なんだか、私の全てが嫌いになった気がする。
私はまた、走り出した。
家に帰りたい、家に・・・。
ーーーーー
「あんな可愛い子にも嫌われて、僕って生きている意味あるのかなぁ?」
僕(おばけ)は、涙を流しながら呟く。
『嫌い!』って言われた。『私の気持ちなんてわからない』って言われた。
てきとうに慰めてたら大丈夫だろう、そう思ってしまったのも、それを行動にうつしてしまったのも事実。
でも、華ちゃんのことは本当に好き。であって間もないけれど、というか一日もたってないけれど、明るくて、優しくて。何故、あんな子がいじめられてなんかいるのだろう、そう思った。
何故、僕と話してくれたのだろう?
何故、初めて会った人に、優しく接してくれるのだろう?
だいたい、何故、僕が見えたのだろう?
今思えば、疑問だらけだ。
もしかして、これは夢なのだろうか。
そんなことまで考えてしまう。
二人の心は、同じだったけれど、すれ違ってしまったとさ。
おしまい。
チャンチャン!
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