第一章 画面の向こうの光景

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 朋宏は地元の公立小学校と中学校に通った。平凡な少年だったので、目立たないけど埋没もしていた。勉強はできるけどそれだけで、その他大勢という感じだった。  知花とはその後も同じ学校だった。  彼女の従兄の大宮(おおみや)拓人(たくと)は、隣りの県の私立高校の選手で、あの選抜大会で準優勝した。  彼は夏の大会も出場して、その時はベスト4だ。  二大会に出場して、ホームランを五本打った彼は、プロから注目される選手になっていた。本人もプロ野球を望んで、ドラフト会議で上位指名されている。  でも、そのことが、知花の母方の親戚との絶縁の原因になったと、朋宏は中学に入ってから知った。  高額の契約金を親戚が要求したのだ。拓人の親が親戚相手に作った借金の代わりにという彼らの気持ちは、まだ子供の朋宏でも分からなくはない。  親戚たちに、契約金が将来の備えという考えがないのは仕方ない。  そして要求された拓人は、契約金のほとんどを彼らに渡すと怒鳴ったと聞いた。  拓人の怒りはすさまじかったらしく、親戚たちは逃げるように金を持っていったそうだ。
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