355人が本棚に入れています
本棚に追加
特別な雰囲気が朋宏は好きだった。夏の大会よりも、彼は春の大会を真剣に見ていた。三十二校という少ない校数も憧れを募らせた。
でも、野球の強豪校は正直、朋宏の望むレベルの学力がない。全国では、野球が強くてしかも進学校という高校もある。でも残念だけど、朋宏たちの住む県では、それなりのランクの高校は存在するけど、少年の希望には達していない。
なので、野球部で甲子園に行きたいと願ったら、大学進学では不利になる。しかも、そこまで望んで強豪校に入ったとしても補欠は確定。
朋宏は甲子園には憧れているけど、知花の従兄の拓人のようなプロ野球選手になりたいとは全然思っていない。大学に進んで、将来はスポーツドクターになりたいと希望していた。
医学部……朋宏は一人っ子だ。そして両親は、全国規模の建設会社の幹部と新聞社の副編集長なので、県内の大学ならと許可はもらっている。
でも、それにはどうしても進学校に入らないと不可能だ。朋宏は悩んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!