第一章 画面の向こうの光景

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 「う……ん、一応勧められてる学校はあるけど……」  校名を言うと、知花は瞳を大きくして何度も頷いた。  「やっぱ、その学校か。みんな言ってたもん。朋、きっとそこ行くよって」  「そこまでできるわけじゃないけどね……」  困惑の声に、知花が首を振った。  「何を言ってんのよ。いっつも五番以内の人間が言うことか?嫌味にしか聞こえないんだけど」  半分怒ったような知花の声に、朋宏は慌てた。ものごころついた時から、朋宏は知花に絶対敵わない。  「そうじゃないよ。ただ、そこに入ったら野球してる暇ないんじゃないかなってね」  聞くと知花は呆れた表情になった。  「野球?冗談でしょ。医学部に入るって言ったじゃない。そんなのダメダメ。真剣に勉強しても大丈夫なの?ってところだよ」  「分かってるんだけどね……」  朋宏は溜息をついた。
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