第一章 画面の向こうの光景

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 一時間も掛からないで作ったカレーを炊いた米に掛けて、朋宏は一人きりの食事を始めた。  (寂しいな……)  時々すごく寂しくなる。両親や家族が夕食の席にいる友人たちを羨ましく感じる時だ。両親を嫌っていない。すごいと思うし尊敬もしている。でも、本当に時々、一人の食事が寂しく感じられる。  気分を変えたくて、朋宏はテレビを点けた。ちょうど、ニュースのスポーツコーナーだった。プロ野球は終盤で、今年の優勝争いもそろそろ結果が分かる。  その時、ある選手のインタビューが流れて、朋宏の食べる手が止まった。画面には、野球選手とは思えないイケメンな男性……知花にも似ている。  野球界を代表する選手となった、大宮拓人が映っていた。
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