第二章 画面の向こうの状況

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 朋宏は結局、偏差値の高い進学校を受験すると決めた。  さすがに現実を考えれば、周りの意見が正しいくらいは分かる。  知花も、県内の野球強豪校に行きたい(気持ちもある)と言った朋宏に、呆れた表情で止めたくらいだ。自分の実力を思えば無謀という言葉でも足りないと、朋宏でも分かる。  野球部で中学校の時と同じく、三年間補欠で卒業したら、相当後悔するだろうというのは本人も自覚していた。  やっぱりスポーツドクターになりたい。野球の才能はないけど、高い能力を持っている人の助けになりたい。怪我の治療や予防で貢献したい。  そういう考えでの希望だから、合格へ近づく高校に進学するのは当たり前。朋宏は素直に、トップクラスの進学校になる、県立と私立の併願をしていた。本命は県立だ。  医学部へと進むなら、ものすごくお金がかかる。両親の負担を少なくしたい。あまりレベルが変わらないなら、県立にして学費を節約したかった。
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