第二章 画面の向こうの状況

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 「朋宏って、大学どこって考えてるんだ?」  高校に入ってからできた友達の広瀬(ひろせ)賢吾(けんご)が訊いてきた。名前のとおり、この高校でも賢い……朋宏の成績を超える生徒の一人で大学は法学部を狙っている。地元を出る予定らしい。あの成績なら当たり前と朋宏も思う。  「う……ん、一応、地元の国立の医学部狙ってるけど。地元って言われてるんだ。学部が学部だから」  答えると、賢吾は納得したように頷いた。  「それはそうだな。学費に生活費ってなったら破産するよな。でもランクは足りてるんだろ」  朋宏は頷いた。余裕というほどではないけど予備校でもB判定は出ている。他の学部も希望に入れているけど、そちらはA判定なので余裕はある。  「そっか……俺は第一志望、Bぎりぎりなんだ。まだまだ先だけど、一応違う大学考えてみないかってさ。厳しいのは分かってるけど一年で言われるとな……それで、朋宏はどうかなって思ってさ」  賢吾の志望大学は、国内でも名前を知られている難関校だ。この高校でも一人か二人というレベルの高さだから、言われるのも分かる。  ちなみに、朋宏は、その大学はほとんどの学部でE判定になりそうな気がしている……
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