第一章 画面の向こうの光景

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 「あ、あれ、知花(ちか)のお兄ちゃん!」  横の知花の声に、朋宏(ともひろ)は首を傾げた。隣りの家に住んでる、同じ幼稚園の少女に兄がいるなんて聞いたことがなかったから。  不思議そうな朋宏に、知花の母親が苦笑した。  「朋くん、びっくりするわよね。  知花の従兄なの。私の兄の息子……すっかり大きくなったのよね……」  朋宏には、言葉の意味で分からないところがあったけど、知花の親戚だというのは理解できた。少年にも同じように従兄弟がいるからだ。  「じゃ、おばあちゃんちに行ったらいる、お兄ちゃんたちとおんなじなんだ」  知花の母親は微笑んだ。  「そうね。朋くんにも大勢いるんだ」  「うん!」  元気に答える朋宏に知花が怒った。  「静かにして!お兄ちゃんが出てるんだから」
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