第二章 画面の向こうの状況

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 「連絡なくなってすぐに諦めたから……」  答えを聞いた知花の母親は苦笑した。  「そんなの朋くん、悪くないでしょ。返事なくなったらもう付き合い終わったのかなって考えるわよ。  それに、来てもらってもどうしようもなかったでしょうから、気にしなくていいのよ」  「何があったんでしょうか?」  (うかが)うように訊いていた。不安は予想でなくて事実だと分かったから。  「知花ね、自分の部屋にいるわ。出てこないけど……食事も何もかも一人で済ませてるから……シャワーも私たちが寝てから入ってるみたい。  私たちにも会いたくないみたいで……」  何を言っているのか分からなかった。知花は明るくて男女関係なく友達が多かった。控え目で、それほど友達が多くない朋宏とは正反対だったのに……  「入学して五月の連休が終わるくらいから高校に行かなくなったの……」  知花から返事が来なくなった頃だ。朋宏は信じられなかった。知花の母親は、少年には衝撃的になる内容の説明をしてきた。
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