第二章 画面の向こうの状況

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 「……」  朋宏はどう反応したらいいのか分からなかった。  知花が不登校……このままなら退学になる程度は朋宏にも分かる。義務教育でない。学校に行くか行かないかは本人の気持ちになる。それに、仮に留年しても登校しないなら結局辞めるしかない。  「一学期で改善しなかったら、休学か退学を決めないとならないかもしれないわね……でも、引きこもってるから……」  疲労の(にじ)む声で知花の母親は言ってきた。  信じられなかった。  もちろん朋宏も、女子にとって交際相手がすごく重要なのは知っている。でも、そんな理由で集団でいじめるなんて……朋宏には違う世界の話に聞こえていた。  「知花、誰にも相談しなかったんですか?」  「ええ……私たちも不登校になって初めて分かったの。それまでは普通に学校に行ってたから。  友達……に相談できないわよね。そんなんだから。  今でも本人は何も言ってないわ。でも、捨ててあればね……」  誰でも必要なスマホを捨てていた……どれだけ傷ついたのかと思うと、朋宏は心が痛くなった。
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