第一章 画面の向こうの光景

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 朋宏は少し面白くなかった。全然遠いんだから、見えないし聞こえないのに……  でも、同じ服を着て、きちんと並んで歩いてる大きな人たちを見ると、カッコよく見えて朋宏も画面を真剣に見た。  音楽が微かに聴こえる。それに合わせて歩いてる。幼稚園の運動会でも同じことをしてるけど、それよりも数倍カッコいい……  すごくたくさんの人が草の上を歩いてる。土の場所もある。綺麗だけど変だと少年は思った。全部草を植えればいいのに……と。  全員が同じ方向に立つと、一緒に歩きだした。広い場所で遠くに人が見える。テレビはその人たちを映した。みんな、嬉しそうにどこかを見てる。拍手もしてるのが分かった。  並んでた人たちが止まった後は、おじいさんみたいな人たちが話してるけど、朋宏は退屈になった。よく分からないことをずっとしゃべってる。  「つまんないね」  さっきの行進は面白かったのに、これはつまらないと朋宏は思った。知花も頷いた。
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