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「うん……園長先生、もっとお話短い」
でも、時々並んでる人が映るから、知花は画面から目を離してない。きっと、お兄ちゃんが映るかもって思ってるんだろうな……
知ってる人がテレビに出てる。朋宏はちょっと羨ましくなった。当たり前だけど、朋宏の従兄でテレビに出た人なんていない。
そんなことを考えてたら、やっと、おじいさんたちの話が終わった。ホッとすると、並んでた人の中から一人が出てきて、真ん中で右手を上げた。
=選手宣誓……=
意味は全然分からないけど、目立っててすごいと朋宏は思った。みんなが見てる場所で大きな声を出す。朋宏には絶対無理。
夢中で見てるうちに、その人は元の場所に帰った。そして、お姉さんたちが歌を歌いだした。
綺麗な曲に朋宏は惹きつけられた。動けない。この場所ではあの歌を歌うと知った。見に行きたいと少年は強く思った。
「おばさん、ここって遠いの?」
朋宏の質問に知花の母親は苦笑した。
「う……ん、どうかしらね。行けなくはないけど、それほど近くないわね……」
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