第一章 画面の向こうの光景

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 遠いのか近いのか全然分からない。でも、行けそうだと朋宏は思った。  「ちぃちゃん、僕、ここに行く。そしたら、ちぃちゃんのお兄さんと一緒だよ」  「ほんと?そしたら知花も一緒に行っていいの?」  「うん。一緒に行こうね。僕、頑張るから」  知花の家へ次に呼ばれたのは三日後だった。今日は家に誰もいないから、いつもなら幼稚園以外の場所に行く。でも、この日は知花の家にずっといていいと、少年の母親は言ってくれた。  朋宏はわくわくしながら隣りの家に入った。  テレビのある部屋に入ると、オレンジジュースとケーキが出てきて朋宏は歓声を上げた。  「ありがとう、おばさん」  きちんと言わないと、後で母親に叱られる。  「いいのよ。朋くん、このケーキ好きよね。遠慮しないで食べてね」  「うん!」  言いながら朋宏はケーキを食べだした。そんな少年を知花が不満そうに見てきた。
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