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遠いのか近いのか全然分からない。でも、行けそうだと朋宏は思った。
「ちぃちゃん、僕、ここに行く。そしたら、ちぃちゃんのお兄さんと一緒だよ」
「ほんと?そしたら知花も一緒に行っていいの?」
「うん。一緒に行こうね。僕、頑張るから」
知花の家へ次に呼ばれたのは三日後だった。今日は家に誰もいないから、いつもなら幼稚園以外の場所に行く。でも、この日は知花の家にずっといていいと、少年の母親は言ってくれた。
朋宏はわくわくしながら隣りの家に入った。
テレビのある部屋に入ると、オレンジジュースとケーキが出てきて朋宏は歓声を上げた。
「ありがとう、おばさん」
きちんと言わないと、後で母親に叱られる。
「いいのよ。朋くん、このケーキ好きよね。遠慮しないで食べてね」
「うん!」
言いながら朋宏はケーキを食べだした。そんな少年を知花が不満そうに見てきた。
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