第一章 画面の向こうの光景

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 「もう、お兄ちゃん出てるのに。ともも見てよ」  「え?」  また、知花の従兄が出る……不思議だった。朋宏はもうテレビに出るのは終わったと思ってた。  「こうしえんっていうのに出てるんだから。すごいんだよ。野球上手いんだから」  「野球……?」  もちろん、朋宏も野球はしたことがある。近くの公園でビニール製のバットを振って走るだけ。あの場所で同じことをする……もったいないと思った。  でも……  朋宏は知花と並んで、テレビの前から動けなくなった。今までやってた野球って、なんだったんだろうと少年は思った。道具は似てるけど全然違う。  バットがボールを打つと、キン、という高い音が響く。全力で走っても先にボールがグローブに入ってる。あんなに遠い場所から一気に投げてる。  少年には初めて見る野球だった。
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