第一章 画面の向こうの光景

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 朋宏は、この場所に行くだけでは駄目だと思った。知花の従兄みたいに野球をしたいと感じた。  「僕、野球選手になる。そして、ここでする」  意味は分かってないけど、それでも、眩しく見える場所で野球がしたい。それだけは分かった。  「そう、朋くん、高校野球か……選抜大会に出たら、おばさん応援するわね」  「せんばつたいかい?」  初めての言葉に訊き返す朋宏に、知花の母親は笑みを浮かべながら頷いた。  「ええ、出ていいって言われた学校だけの大会よ。すごいわよね……たった三十二校なのよ」  出ていいって言われた学校だけがここに来ていいと知った。  (僕も出たいな……)  朋宏はテレビを見ながら願ってた。
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