第一章 苦境に落ちた家族と差し伸べられた助け

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 残念だが、銀行の返済が最優先で、親戚には猶予を父親は頼んだ。  当然、彼らは怒って大宮家の三人を責めてきた。  「最初から無理だったんじゃない?  あの店が来た時に閉めてれば良かったのよ。だから、金を貸すのは嫌だったのよね。  まさか、身内だから踏み倒してもいいとか考えてないわよね」  伯父の妻-伯母が辛辣な口調で言ってきた。彼女は大宮家とは直接の血の繋がりがない。余計に容赦なかった。  義理の弟である父親は、何も返さずに頭を下げたままだった。  「まぁ、最悪、この家を売ればなんとかなるでしょ。とにかく全額必ず返してもらいますからね。まず、ここを閉めてからじゃない?」  全員の意見だったようで、伯母の言葉に彼らは頷くと、身内とは思えない視線を向けながら出ていった。  伯母の言うように閉店すれば、これ以上の損失は回避できるが、銀行への借入金の返済は絶望的になる。  完全に手詰まりになったのが、息子の拓人にも分かった。
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