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自分が教室で最下層になったと拓人にも分かった。理屈がある-人の金を盗んだ人間の息子……
「なぁ、あいつ、盗んだ金で野球やってたのかもな。
バレたらいられないよな」
シニアリーグではなく、中学校の軟式野球部に所属する男子が拓人に聞こえるように言ってきた。
拓人が入っていたチームに所属したいと望んだが、親の反対で諦めたということだ。シニアリーグは中学校の部活の比でなく金がかかる。金銭的に厳しい家庭があっても驚かない。
なので、拓人に対して嫉妬の感情を隠さない。それでも、シニアリーグで有名人の拓人に近づくことはなかった。
だが、拓人の立場は一気に最低にまで落ちた。今までの不満をぶつけるチャンスと思ったのだろう。隣りのクラスなのに、わざわざやってきて、部活の仲間に言う形を取りながら悪意に満ちた言葉を聞かせてくる。
悔しかったが、拓人は下を向いて耐えた。今の彼にはそれ以外にできることはなかった。無視をする拓人が不満なのか、チャイムが鳴る前にその男子は自分のクラスに帰っていった。
だが、その後もひそひそ声が続いた。早くチャイムが鳴ることだけを拓人は願うしかなかった。
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