ERODE ~Giseral・Abirity~

プロローグ

・・・２０３０年、裏の世界で、とある麻薬が大量に流れた。

それまで、麻薬と言えばコカインや、大麻が主流だった。
この二つは、楽物乱用防止教育を受けていない、小学校低学年の子供達でも口をそろえて
「聞いたことある」や、「テレビで見た」など言うほど、有名だ。

これまで、知名度、人気度、共に高かった麻薬に並び、出回り始めてから数年で無名だった麻薬は、世界に名をとどろかせた。

―――その名は、「GISERAL〈ギゼラル〉」―――

ギゼラルは、値段こそ大麻やコカインの末端密売価格を軽く上回る、高価なものにもかかわらず、強い多好感と、異常な程の依存性で、人々を魅了し、蝕んでいった。

・・・２０４６年、９月２６日。日本。東京都。歌舞伎町にて、とある少女の成長が完全に止まったと診断された。
医師たちは、ハイランダー症候群ではないかと考えたが、その考えは一瞬で覆された。
・・・少女は、生まれつき特殊な能力を持っていた。