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第1話 導き
僕達は声につられてやって来た所は人気が少なく古びた神社の前だった。
「ここって、いつもお前が通ってる場所じゃ……」
「いや、ここは僕が通らさせてもらっている神社のようだけど少し違うな。」
「え、それってどういうこと……」
“にゃあ”
目の前を見ると僕らの前に黒い子猫がちょこんと座って僕らの方をじっと見つめていた。
「あっ、猫だ。可愛ええなぁ。」
「ほんまや。……いつからおったんやろ。」
「確かに。」
“にゃあ”
ともう一度鳴くと猫は何処かへ走り去った。
「いったい何やったんやろ。」
「まぁ、何にしろ気を付けた方が良いかもな。」
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黒猫。それは昔から気味悪がられている動物である。
『闇夜に静かに現れる黒猫。それを見た人は一年以内に亡くなる。夜、外出するときは気を付けるべし。』
という噂があるほどだ。何でも死神の手下として動いているとか、地獄の使者だとか何とか……
とにかくあまりいい噂はない。
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「とにかく、こんなところで突っ立っていても気味悪いだけだし少し探索しようぜ。」
「そうだな。」
パンパン
僕らは鳥居の前で一礼して神社のなかに足を進めた。
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神社のなかは思っていたよりも涼しくて僕達はここが天国なのではないかと思ってしまったくらいだ。
“やっと来てくれた”
“遊んでくれるかな”
僕達はくつろいでいたのも忘れて声がする方を探した。
「こっちの方から聞こえた気がしたんだけど……。」
「こっちからも聞こえたぞ。」
探しているうちに声は聞こえなくなってしまった。
「とりあえずまずは身を清めるべきだな。」
「そうだな。また何かあるのも嫌だしな。」
「……そういえば、柄杓とかってどうやるんだ?」
「……分からん。……せめて人がいたらなんとかなるのにな。」
と清め方が分からず途方にくれていると後ろから人が来る気配がする。
「こんなところでどうしましたか?」
振り返ると背の高い男性が立っていた。
「ギャアー!……だ、誰??」
「……(一体何処から)」
男性は腰が抜けた親友の手をとり、もう一度同じ言葉を繰り返した。
「こんなところでどうしましたか?」
と。
突然のことに驚いて声が出ない親友を横目に僕はとりあえず柄杓のやり方が分からないことを男性に伝える。
すると男性はどこから出てきたのか分からないタブレットをもって柄杓のやり方の動画を見せてきた。
「こういう風にするのか…」
と、僕らが驚嘆していると男性は微笑んで
「着いてきてください。」
といい、僕らを境内の方へと連れていった。
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