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自分に自信と自覚がないことが、こうやって愛する人に迷惑をかけてしまっている。
もういい加減、過去の自分と決別するときがきているのかもしれない。
(彼の両親にも兄姉にも会えたし)
それって本当に大切に思ってくれているからこそのことで、そこに偽りも何もないわけで。
俺には紹介する家族はいなくて、本当に彼の存在が全て。だからこそ彼に対して誠実でなくてはならない。こんなことに今頃気がつくなんて。
「しかし、油断も隙もあったもんじゃない」
彼の口調が少しトゲトゲする。蒸発したように会場に天才くんの見えない。
「……あのさ、あいつのこと責めないでやってよ。大人の俺がしっかりしてなきゃいけなかったのに、拒否しなかったんだから」
彼が怒りに任せておかしなことをしないように、クギを刺しておく。
「ハニーがそう言うなら、俺は何も言わない」
そういうところは誠実なのだった。
「ま、あの歳でハニーの良さに気がついたことは、褒めてやってもいい」
余裕ぶって言うし。
「これを機に人のもんには手出すことないだろう」
「相当ビビってたから、謝るだけはしとこう」
彼がいてくれたから、こうして大切なものに気づけたというのもあるし。それを思うと、天才くんにはお礼を言わなければ。
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