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改めて、二人で踊ることにした。仲直り……って別に喧嘩したわけじゃないけど、雨降って地固まるってやつで。
「大丈夫、いいぜ、うまいな」
さっぱり上手くないのを褒めてくれる。なんとか彼の足を踏まないようにしながら身を任せる。
すべて俺に任せてくれ。彼は言う。本当に任せきりにしていたら、それなりのステップが踏めるようになっていた。
「ハニーちゃんいいじゃないの、うまいわ、日本でダンスやっていたの?」.
ダンスしながらそばを通りかかった二番目のお姉さんに尋ねられるけど、そんなことは一切なくて苦笑いするしかなかった。
「ハニーはなんでもできるからな、器用なやつなんだ」
そんな中でもノロケを忘れないあたり、本当に徹底していると思う。
「本当にお前と結婚してよかったよ」
ポロっと口にすると、音が大きくて聞こえないと耳を寄せてきた。
「だから、おまえと結婚してよかったなって」
「何? もう一度」
「絶対聞こえてんだろ!」
軽くデコピンする。額を寄せると、自然と笑みが溢れた。
もう彼を裏切らない。心に誓う。それは俺がどういう存在なのか、しっかり自覚するところから始まる。
今日を機にうまれかわってやる。
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