仕事

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 目覚めると、いつもの景色があった。真っ白な天井だ。数年前から、何も変わっていない。  そうか、昨日の診断は夢か――そう安堵したのも束の間、現実に戻された。起き上がって見えた景色が、昨日のままだったのだ。  普段と変わらず見えたのは、天井が元々白かったからだろう。  無意識に、深い溜め息が出る。癖のようにメールを確認したが、これまた現実を突き付けられただけとなった。  昨夜、私は全てを裁ち切った。いや、そうせざるを得なかった。  半端な仕事の仕上げさえ出来ないまま、会社との契約を切った。贔屓してくれていたクライアントにも連絡をいれ、事情を話した。  皆が、それじゃあ仕方ない。お大事に。の二言を別れの挨拶とした。誰一人、留めてくれなかった。  いや、仕事が出来ないんじゃ当然ではあるけれど。  治っても、君の戻る場所はないよ。そう言われた気がした。  なぜ、努力していた私が、病にかからなくてはいけないんだ。考えると悔しくなり、目の奥が熱くなる。  色のない景色は心を慰めず、結局は泣いてしまった。
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