標識表示街

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管理空館(マジックコート)に入って30分は経過しただろうか… ここまでボコボコにされるとはねぇ… 打撲に内出血、それに骨折… 身体中ズタボロだ 生きてただけ…ましか… はは…歩くのも辛い… 光の結界の中から出てきたのはボロボロになったレティだけだった 「レティさん!」 アルマがレティを見つけて叫んだ なっ… 「まだいたの…?」 「当たり前です」 姉妹二人がレティに駆け寄った 「けっこうやられましたね」 「あはは…うるさいなぁ…こんなもんでしょ?」 「ええ…信じてました」 「ささっ、こちらへ」 アルマが地面に布を敷いて、そこに手招きをする レティはゆっくりとそこに腰を下ろした 「あいたたた…いってぇ~…」 レティの痛がる姿を見て苦笑いをするアルマ 「ゆっくりでいいですよ。そのまま仰向けに寝て下さい」 「よっと…痛たたぁ…」 「さっ、頭を私の太ももに乗せて下さい」 ルルアが膝枕をしてくれた アルマはレティの身体に手をおいて治療魔法をかける 暖かい…寝てしまいそうだ 「ありがとう…」 「いえいえ…それよりも、ひどい…どうしたらこんな事に…」 「あー…それは……」 けっこう痛々しい話になっちゃうんだけど… 「ふふ…無理して言わなくてもいいです。こんなになるまで闘って下さったんですから。感謝しかありません」 「……そう?」 「はい」 そっか… 良かった… 勝てて良かった 本当に良かった もし負けていたらと思うとゾッとする… この姉妹の笑顔も命も 無かったかもしれないのだから しかし… 本当に先に行ってもらってよかったのだが 「ねぇ…先に洞窟から出てくれても良かったのにぃ…おかげでカッコ悪い姿を見せる羽目になっちゃったじゃん…」 「安心して下さい…カッコ悪い所なんて何一つありませんし、それに…三人でここから出るって約束したじゃないですか…絶対に置いて行く事はありません」 「そんな約束…」 律儀なこと… いや、お人好しなのか… どこかの誰かさんみたいに 「ありがとう」 ただその一言に尽きる 「いえいえ…当然ですから」 先ほどまで身体中が激痛の嵐だったが、今は優しい暖かさに包まれて 痛さなど微塵も感じなかった 「気持ちいい…」 「ふふふ…寝てもらっても構いませんよ?」 「うん…」 「……」 一度目を閉じて また(まぶた)を開いて真上にあるルルアの顔をじっと見た 「な、なんですか?」 「寝て起きたら、どこかに消えていた、なんて事はやめてね?」 「しませんよ!そんな事!」 顔を膨らませるルルア どう考えてもそんな事をする連中ではない レティは微笑んで(まぶた)を閉じた 「冗談だよ…………冗…談…」 意識が遠のいて行く レティは少しの間、眠りについた ー数分後ー 「んっ…」 「あっ、起きましたか?」 「えっと…私…どれくらい…」 「たったの30分程です」 「そっか…」 不覚だ 決して安心してはならなかった するならするで、ここを出てからだ この洞窟にはまだ殺人者が潜んでいるのだから 忘れていた 「あ、あの」 「ん?」 「お仲間さん来てますよ?」 お仲間? 周囲に目を向けると 綺麗な黒髪をしたショートの女の子が立っているのが見えた いつもの彼女だ… 私の唯一の理解者であり 相棒であり 親友だ 「カレン…」 なるほど… もう一眠りできそうだ… レティは再び(まぶた)を閉じた 「待て待て待て待て待てぇー!!!」
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