標識表示街

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ー洞窟内ー 「よーし、大量、大量」 いい調子! レティは採掘、採取に励んでいた やはり隠しステージという事もあって掘り出し物が沢山出てくる いつもよりも探しがいがあった 時折出てくるスライム状の魔物は片手でビンタしてぶっ飛ばし キメラっぽい魔獣は(自称)愛用の双剣で吹き飛ばした 「いやー、快調、快調」 レア素材が取れて嬉しいのもあったが 彼女は単純に、久しぶりのダンジョンが楽しかった 最近は住人の頼み事ばかりで、ろくに戦ってもいない 久しぶりのモンスターとのバトルがこれほどまでに楽しいなんて… 彼女は向かってくる敵をズバズバと迎え撃ち、斬り刻んだ 楽しい…面白い…もっと来い! 魔物や魔獣と戦って、いつもこんな気分になる これって、血がたぎるってやつなのかな… こんな事を思ってしまう彼女はやはり 生まれながらにして魔導師なのだ 一匹の魔物がレティに飛びかかった 「そぉら!」 一振りで端までふき飛ぶ それを見て周りの魔物は逃げ去って行く この最下層の魔物、魔獣共を一振りでノックダウン… 私って…もしかして…最強? 最強なんじゃないの? 「ふふ…あははは…あっーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」 仁王立(におうだ)ちして不敵に笑いだす女 レティ・ヴィルバン そのまま自分の強さの余韻(よいん)(ひた)ってニヤニヤしていた そして先程吹き飛ばした魔物が斬り口から燃え始める そう!私の双剣は炎属性!(借り物) 紅蓮閻魔竜(ぐれんえんまりゅう)(きば)(うろこ)、その他諸々(もろもろ)で作り上げた一品【影伐(かげうち)】(借り物) 切った魔物が燃焼するのは当然! 「あっーはははは、いいぞ、いいぞぉ!燃えろ、燃えろぉ!景気よく燃えろぉー!燃えちまえぇーー!!チキショーめぇぇー!!あっーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは」 (はた)から見たら、彼女が魔物に違いなかった 爆笑中、上層階の方から他の者の声が(かす)かに聞こえた 「ん?」 どことなく、その声は嘆きのように聞こえた はは~ん… アイテムがない、素材がないってぎゃん泣きしてる訳ね ごめんねぇ、みんな…… どうやら一個上の階で回収し過ぎちゃったらしい でも、早い者勝ちだよね? プークスクス…観光気分で来るからそうなるんだよー と思っていると 入ってきた入り口の方から真っ赤な光が漏れてきた 「なっ…」 何あれ…へ? 空間の温度が上がってる これ…えっ…まさか 燃えてる? 入り口から狂った勢いで炎が吹き出してきた う、嘘ぉ~! 「ちょっ、待っ…うひゃあっ!」 とっさに着用している羽織りにくるまったが 物凄い熱量 皮膚は焼けて、髪の毛も少し焦げてしまった 「いゃ熱っつぁつぁつぁーーー!!!!」 激痛と恐怖がレティを襲うが、下唇を噛んで、正気を保つ (あせ)るな、(あせ)るな 魔法を使えば余裕なんだから 「防壁面挿(ブロックメイド)」 身体の周りに半透明のバリアを構築し、何とか一命をとりとめた 半透明のバリアは炎に包まれている 視界に入ってくるのは紅蓮の炎だけだ 状況は全く掴めない。レティはその場に座り込み、炎が止むのを待った 炎は中々治まらない レティは、火傷した部分に手を当てて回復魔法で治療にかかる 「いててぇ…水ぶくれになってるしぃ…髪の毛も少し燃えちゃったかぁ…」 今日は厄日ね いや……先程、燃えちまえなんて言ったからバチが当たったのかも… しかし、この炎は魔法だろうか だとしたら、誰かが確実に殺しにきてる… いくら魔物相手だとしても…これは周りを巻き込み死滅させる威力だ 早くここから出ないと… 殺し合いになる可能性も… 彼女の額から一筋の汗が流れた
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