運命の恋

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―――記憶の中に優しい雪が降る 二年前、幼い頃から両親に疎まれて育ったわたしは耐えきれずに家を飛び出した。 雪の中、寒さに震え、行くところもお金もなかったわたしをひとりの男が拾ってくれた。 「……脱がなくていい。貧相なガキの裸を見て欲情するほど若くないし、性欲の処理に困ってもいない」 体が目当てで拾ったんだと思ったわたしは、誰にも見せたことのない肌をさらして覚悟を決めていた。 「自分を安売りするな。本当におまえが心許す相手ができた時のためにちゃんと守ってろ」 煙草の煙を吐き出した大人だったあの人はわたしにそう言ってくれた。 「嫌なことがあったなら嫌だって言え。ツラいことがあったならちゃんと泣け。笑って誤魔化してばかりいても周りは理解してはくれない」 「…どうして、……どうしてわかるの?」 笑ってさえいれば辛いのも誤魔化せるって。 辛くないふりをしてれば辛くないって。 「そんな目をしたヤツが以前にもいたからな」
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