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初詣たって歩いていける神社なのだけど、結構大きな神社で常に人はいる。三ヶ日ほとじゃないけど、やっぱり一月は初詣に来る人が多いのか、普段より人が多い。流石に一月の後半に俺みたいに着物姿で初詣に来る人は少ないけど、その分俺が目立つ。
「にょたチョコ男子の瑠璃くんだぁ」
そんな風に通り過ぎていく人もいる。そんなときは親父の顔も母さんの顔も得意そうだ。
「瑠璃は可愛いからねぇ」
「私の子供ですから」
正直、俺には自らの息子が女体化してグラビアアイドルやってる感覚は分からない。ただ親父も母さんも自慢にしている。反対されるよりはいいのかな?
境内を歩くと一月後半だというのに、出店もある。やっぱり大きな神社は違う。三人で甘酒を買って体を温めてからお参りに向かった。
俺、毎年初詣来てるけど、ちゃんとしたお願いってしたことないなぁ。目を瞑ってお参りをして目を開くと親父がいなかった。
「母さん、親父は?」
母さんも目を瞑ってお参りしていたみたいで、きょとんとした顔をしている。
「何かあったのかしら?」
俺と母さんは親父を探して境内を歩く。
「親父ーー!」
「あなたーー!」
探していると遠くに親父の姿が見えた。小さな女の子の手を引いている親父が……。
「親父!?」
俺が叫んだ途端、親父は女の子を脇に抱えて駆け出した。
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