白い国

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小さい頃は、冬が好きだった。 いや、寒いのは嫌いだったから正しくは 「雪が好きだった」 のかもしれない。 学校の帰り道には、友達と雪合戦をしながら帰った。 遊ぶのに夢中で、帽子を落として失くしてしまったこともある。 帽子を失くしたことに対して、ひどく怒られたけれど "楽しい" 想いが強く、大して落ち込まなかった。 雪遊びは、それほど楽しいものだった。 休日になると、車にスキー板を積んでスキー場に向かった。 普段は家で読書をしていることが多かった父親の運転で向かうスキー場。 窓から見えるのは、普段と違う真っ白な街。 それら全てが、まだ幼かった私の心をいつも以上にワクワクさせてくれた。 スキー場に着いて、スキーウェアを着る。 自分のスキー板を持って場内に向かう。 リフトに並ぶ列。 大人に混じって、リフトへ乗り込む。 乗ったリフトはグングンと山を登る。 見えるのは、木々の間に広がる真っ白な雪。 運動は、あまり得意ではなかった。 体育の時間、上手く出来ないのが恥ずかしくて人に隠れて目立たないようにしていた。 でも、ここでは違う。 雪山を滑る、疾走感。 自分の足でここまでのスピードを出せる。 そう感じさせてくれる、この雪山が大好きだった。
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