書けない特技

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 そこで目が冷めた。  面接の最中に眠ってしまうという最悪の事態は夢だったのだ。  そう思ってホッとしてから気づく。  目の前は真っ白だったのだ。  なにかと思えば、真っ白の枕だった。  これは僕の枕ではない。  しかも、寝ているのはベッドではなく、パイプ椅子に座ったまま。  確認してみると、長机に枕が置いてあり、座った状態で僕は枕に顔をつけて寝ていたようだ。  しかも、スーツ姿で。  あれ? なんで僕はこんな状態で寝てたんだ?  そこでようやく気づく。  今は、面接の最中だった!  恐る恐る顔を上げると、3人の面接官がこちらに鋭い視線を送っていた。  謝ろうとしたその瞬間。 「はい、結構です。以上で面接は終了です」  面接官の一人が、事務的にそう言ったので僕はとぼとぼと部屋を出た。
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