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牢獄にて
あなたのことが好き。
膝をついてあなたの足の指を一つずつキスをして、あなたの足の指の間を隙間なく舌を這わせて、どんどんどこまでも舐め尽くしたい。
人徳もなにもかも完璧なあなた。
菫色の瞳は、どこまでも澄んでいて私などどこまでも溺れ続けてしまう。
清廉すぎる姿はどこまでも月の雫のように純白で穢れが勝手に逃げ出していくようだ。
逃げ出さずにはいられない真珠のようなあなたの姿を何度も何度も反芻しては喉の奥からこみ上げる熱い液体はどこからどこに行くのか。
好き。
目玉も、頭皮も、爪も
何もかも。
どこまでも。
ただ、わからない。
動いるあなたと動いていないあなたはどちらが本当のあなた?
動けば藤の実が弾けるように、飛躍する肢体は踊るかのように艶めかしく、
静まれば、その先もどこまでも遠く抱擁するあなたの生命力に、
私は痺れるほど高揚する。
ああ、どこまでも愛しいあなた。
夜の帳をどこまでも切り裂く暁の剣が私の喉に突き刺さる。
ああ、
いいよ。
初めて愛したあなたが、
あなたが、
初めて侵す相手が私なら
一点の汚濁ほど、得られるものはない。
望むものはどこまでも。
どこまでも深淵のその先に、あなたの絶対の存在を私だけで侵食したい。
それが、この最後の
死刑台の上の最期の産声なのだ。
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