金井友春

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しかし、そんなこと考えてる場合ではなくなった。 体育祭が迫ってきた。 俺は、参加できない。 走ることすらできない。 理由は、持病の為…ということになっていた。どんな持病かなんて、担任の先生以外は知らない。もちろん、今までも体育は参加したことない。うちの学校はほとんど体育がないから、そんなに気にすることではないけど。 「辰巳、体育祭でさ…やぐらやるんでしょ?」 「まーね。あー眠いなー」 怖くないのか?落ちたら怪我するのに… 「女子はそんな競技ないのに、男子だけ大変だな」 「そうかも。…委員長は体育祭の手伝いもするか…なぁ?するよなーきっと。そうだよ」 花田さんのことばっか考えてる。 「金井くんってなんの病気?」 辰巳と仲良くなって、俺とも仲良くなった女子に聞かれる。 「とりあえず運動はできない、かな?」 「へぇーそっか」 こんな感じでいつも軽く流す。言いたくない。 知られたくない。 日にちが近づくにつれて怖くなって、結局体育祭は休んだ。見学すらできないとか…ほんとダメだな。これで、友達も減るかもしれない。でも、勉強はしたいから翌日は学校には行く。 「おはよう。見ろよーめっちゃ日焼けしたよ。…眠いなぁ」 辰巳は相変わらず話しかけてくれた。そして他の人も。辰巳にとってはどうでもいいことかもしれない。でも、俺は嬉しいよ。なんで休んだんだ、なんて聞かれなかったから。 3学期になって、また委員長と距離が縮まってる?辰巳、頑張れ。そんな日の朝。 「金井くん、スリッパは?」 はっとした。委員長の花田さんに聞かれて気がついた。片足に履いてない。 「あー、あれ?どこやったかな…」 ちゃんと喋れてる? 「どこ歩いた?」 「…わ、わからな…」 まだ教室に来たばかりだ。どこで…頭がパニックになる。 「靴箱からだよね?ちょっと戻って探す」 え、 花田さんはさっと駆け出したが、すぐ戻ってきた。 「階段の途中にあったよ!はい」 さっと、足元に置いてくれた。 絶対おかしいって思ったはず。 「ありがとう…ごめ」 「明美(あけみ)ちゃーんおはよー」 「真矢ちゃん、おはよう」 スルーされた?
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