漂白惑星

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 コールドスリープからの強制覚醒を行います......  コールドスリープからの強制覚醒を行います......  騒々しく船内に響き渡るアラートを手元のコンソールで操作して解除する。  酷く頭が痛かった。強制覚醒なんて始めてだ。  通常は数ヵ月をかけてゆっくり肉体を解凍し脳を覚醒させるのに対して、強制覚醒は特殊なガスを使用して無理矢理コールドスリープを解除する。寝起きの気分は最悪だった。  だが、そのことに文句を言っている場合でもない。強制覚醒とはすなわち、なんらかのトラブルが発生し、急遽乗組員を起こさなければならないと、この宇宙船に搭載されたAIが判断したことに他ならない。ぼやけた脳が徐々に機能を取り戻していくにつれて、額には冷や汗が浮かび、心臓の鼓動が激しくなる。  落ち着け。この船の乗組員は俺ひとりだ。何が起こっても自分でなんとかしなければ。パニックになっても誰も助けてはくれないぞ。  かつて、訓練生時代に叩き込まれた教えを思い出す。大きく深呼吸して、落ち着いたところで俺は周囲を見渡す。  見たところ船体の損傷等はなさそうだが果たして...  状況を確認すべく、俺はゆっくり身を起こした。
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