パート1

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パート1

「実は俺、上さんと共同でタイムマシンを開発するべく日夜、研究してるんだ」   H博士が酔った勢いでぽろっと口に出すと、N博士は驚いて言った。 「それは凄い。是非見てみたいな」  そう言われてH博士はしまったと思って今度は傍に人がいないのを確かめてから言った。 「いや、このことが公になってタイムマシンが完成すると、製品化して量産化するだろ」 「ああ」 「となれば、歴史が変わってしまうし、有難味がなくなるから俺は上さんと二人だけでタイムマシンを楽しもうと思っているんだ。だからタイムマシンの研究開発は秘密裏に進めていたんだが、君に初めて喋ってしまった。まあ、君が秘密を守ってくれるなら君もタイムマシンを楽しむが良いさ」 「ああ、君がそう望むなら絶対秘密を守るよ」 「よし!おい!ウェイター!ウォッカもう一杯!N君にもな!」  両博士は晩になると一緒に歓楽街に出かけ、よく居酒屋やバーで飲み合う親友同士なのだ。  で、二人は女遊びも盛んでN博士は独身だから咎められることはないが、H博士は助手であり妻の美鈴がいるからそういう訳にはいかない。況して浮気性だからGPSロガーで遂に証拠をつかんで堪忍袋の緒が切れた美鈴によって只では済まなくなった。  そんな胸に一物ある妻の協力を得てタイムマシンが完成した晩、H博士は大いに破目を外すことになり、ガールズバーやキャバクラを梯子して泥酔して自宅に帰って来るや、「美鈴!水!水くれ!」と頼んだ。  すると、美鈴はH博士に睡眠薬入りの水をやり、爆睡状態になったH博士を台車で運んで自分の車に乗せ、タイムマシンがある研究所へマイカーを走らせた。
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