鳴くようぐいす平安京

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鳴くようぐいす平安京

【だいぶ古い時代にタイムスリップしたのじゃな】と、つぶやくのは貧乏神。 ワテは為五郎乃やでえ。頭(ズ)が高いと言いたいが。やーめた。 女郎屋かい、十二単衣を着た姫さまが、帯をクルクルと回されて、しまいには肌が見えてるじゃん。やる人集まれば。 ワテはな、女には興味が無い。 今はない。盗みが好きでな。 人のカミさんを盗むのも盗みじゃ、けんけんパー。 「ご主人さまに叱られます。フンドシの上にブリーフを履いてくだされ」 ブリーフとはなんぞ? まぁ一日が終わりに近づいてきた。 お月さまを見ようじゃないか! と、為五郎乃は白いノラ猫に話しかけていた。 猫は気楽に歩いていたら食われるばい。 猫はなんて鳴くのかな? 静かな猫じゃな。 白い色は好きじゃないが、猫もあまし好きじゃない。 ワテを見て逃げるからな。 鳴けよ、猫ーーはよ、鳴け。鳴かぬなら鳴かせてやるぜ白い猫。 『チンタラチンタラ』鳴いた! なにい。 チンタラチンタラ? 意味があるねかな? 辞典が必要じゃな。 猫よ、食うものはないぞ。 そこにある花でも食いな、彼岸花か?枯れ花か。 武士の姿なぞいないな〜ワシは盗っ人じゃ。 さあて、屋敷に帰るか?帰るのよそうかな! 為五郎乃の屋敷は御殿だ、 見た目じゃわからぬ平安時代よ。 屋敷には貧乏神が来よるからな。
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