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「そ、副島さんにはいつも『待ってる人がいる』ってちゃんと断ってたってば!わざわざ職場まで来て牽制しなくても良かったのに!」 「…『いつも』…『断ってた』…ってことはやっぱり言い寄られてたんだな?」 あれ? もしかして私、墓穴掘った? 晴臣の額にビキビキと音がしそうな勢いで青筋が浮かび上がる。 「あの男…俺が近く結婚するって言ったら『自分は社内に好きな子がいるけど、完全な片思いなんです』とか爽やかに言っときながら、しっかり告ってやがるし」 「そこら辺も把握したうえで来たんじゃなかったの?」 「何のコネもツテもないところを選んで就職したんだろう?さすがにそこまでは知りようがない。でも、千歳は昔からめちゃくちゃモテるからな。光城の名前まで使って先回りした甲斐はあった」 そうか。 そっちの名前を使ったのか。 副島さん、仕事熱心なせいで飛んで火に入る夏の虫…。 重ね重ね申し訳なくなる。 「何もそこまでしなくても…」 「いや。千歳は嫉妬すると、何しでかすか分からないからな」 冷たいのにジトッとした目。 あ。 まずい。 「ずっと気になってるんだけど、()()()千歳、手塚にどこまでー」 「あーっ!もうこんな時間!!戻らなきゃ!!」 勢いよく立ち上がり、鞄を持って個室を出た。
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