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お店の外に出れば、晴臣が会計を済ませてくれる間に逃げ切れると思ったのに。 あっさりと捕まってしまった。 「食い逃げで通報されるよ?」 「プロポーズに使った店でそんなことするか!支払いはもう済ませてあるんだよ!!で、どこまでヤったんだよ?」 「プ、プロポーズの直後にそういうこと聞くの、どうかと思うよ?」 「うるさい。結婚するからこそ千歳のことで知らないことがあるなんて、我慢ならないんだよ!」 そう言えばこの男、私の好みは服のブランドはおろか柔軟剤まで知り尽くしてるんだった。 もちろん、今左手に輝いているリングも例外ではなく、サイズまでピッタリ。 もうこれは、奥の手を使うしかない。 「じゃあ、私も聞いちゃうよ?歴代元カノ達とのこと」 途端、私の腕を掴む手が緩んだ。 「それぞれ何回目のデートでシたのか、とか、何回シたのか、とか」 正直さほど興味はない。 というより、むしろ聞きたくない。 特になりすまし犯の川瀬さんとのことなんて。 だけど、晴臣を引かせるにはこの方法しかない。 案の定、効果は覿面で、喚き散らしていた口は大人しくなった。 それでも諦めきれないのか、本気で頭を抱えている。 「どうしても知りたいなら、いつか、二人とも笑い話にできるくらいシワシワになったら、ね?」 ポンと晴臣の背中を叩いて笑い飛ばすと、晴臣がその場にしゃがみ込んで呟いた。 「あー、もう、この場で押し倒したい」
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