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epilogue
晴臣の帰国から約半年。
秋晴れの今日、私と晴臣は結婚式を挙げる。
「はい、一丁上がり。ベールは邪魔になるから、直前に着けようね」
「ありがとうございます、松本さん」
「キレイよ、蓮見ちゃん!三年前より更にキレイ!!」
「真由先輩も、ありがとうございます」
ヘアメイクを誰に頼むか決めるとき、真っ先に松本さんの顔が頭に浮かんだ。
そこで、遼平くんを通してお願いしたら、二つ返事で快諾してもらえて、今に至る。
真由先輩も居るのは、どうしてもいつかの罪滅ぼしをしたいと、休日返上で松本さんのアシスタント役を買って出てくれたからだ。
「そう言えば、知ってる?」
パシャパシャと色々な角度から私の写真を撮りまくりながら、真由先輩が尋ねる。
「何をですか?」
「飛鳥のことよ。噂で聞いたんだけど、結婚詐欺に遭ったらしいわよ。貢ぐだけ貢がされて、逃げられちゃったんだって。ほんと、ざまぁwwwよね」
こんな日に人の不幸を喜ぶのは憚られて、口に出して同調こそしなかったものの、胸が勝手にスカッとしてしまった。
「さてと、そろそろあのふてぶてしい新郎を呼んで来てあげるわね」
そう言って、真由先輩がメイク道具をしまい終わった松本さんと部屋から出て行ったのと入れ替わりにノックの音がした。
「僕だけど、支度終わった?入っていいかな?」
ドアの向こうから響いたのは、遼平くんの声だった。
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