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次の日、秀人は研究棟のロッカーで、秋成と出会った。
昨日の電話を思い出しながら、
「廣田、俺は調子に乗ってると思うか」
と訊くと、
「どうした急に」
と言いながら、ロッカーを閉めた秋成は、
「乗ってるだろ」
とあっさり笑顔で言ってきた。
「美形で頭良くて、金もあって。
変人だが、誰ともトラブルも起こさず、恵まれすぎだろ。
でもまあ、こういう人間って人間的にかたよってるから、恋人とかできないんだろうなーと思っていたら、なに、あの可愛い彼女。
まあ、ちょっと変わってるけど」
と秋成は付け加えてきた。
「……彼女じゃない」
と言うと、
「あれ? もう別れたの?」
と笑顔で言ってくる。
別れたと言おうものなら、今すぐ明日香に電話でもかけそうな勢いだった。
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